Pierre Gautier-Delaye

ピエール ゴーティエ - ディレイ|1923 - 2006

略歴

Pierre Gautier-Delaye(ピエール ゴーティエ - ディレイ)(1923-2006)
フランスのミッドセンチュリー期を代表するデザイナー。レイモンド・ローウィの事務所に勤め、その後、独立し1950年-60年代にかけて、エールフランス航空のプロジェクトに携わりました。

デザインの目覚め

建築家ピエール・ゴーティエ・ディレイは1923年4月16日にパリで生まれました。他の多くの名デザイナーとは異なり、彼は幼少期からデザインの世界に目覚めたわけではありませんでした。というのも彼は医者志望の青年だったのです。残念ながら健康上の問題で、医者を断念せざるを得なくなった彼は、自身の健康のためにも空気が綺麗な場所へということで、オート・サヴォアに移り住みました。農作業やホステルの支配人など、生活のためにさまざまな仕事をして過ごした彼でしたが、そこでその後の人生を大きく変える運命的な出会いをします。それは建築家ルネ・フォブレ(1906-1991)との出会いでした。ルネ・フォブレの事務所で製図係として働いた彼は、デザインの世界に目覚め、1946年10月にパリに戻り国立装飾芸術高等学校(ENSAD)に入学しました。在学中の1950年、オート・サヴォアに戻り、今度はルネ・フォブレの紹介を受けて建築家アンリ・ジャック・ル・メーム(1897-1997)のもとで修行をしました。ル・メームはシャレーと呼ばれるアルプス地方に見られる山小屋タイプの宿泊施設の建築を得意としており、ゴーティエ・ディレイのデザインに決定的な影響を及ぼしました。ゴーティエ・ディレイは当時の修行時代を後に「特に、木片とは何か、どのような意味で使うべきか、多くを学びました」と語っています。

名デザイナーのもとで


ゴーティエ・ディレイは上記した師の他に、誰もがその名を知るであろう二人の名デザイナーの元でも学びました。一人はフレンチミッドセンチュリーの源流を作ったといわれ、ENSADでは数々の名デザイナーを輩出してきたことでも知られるデザイナー、ルネ・ガブリエル(1890-1950)、そしてもう一人は「口紅から機関車まで」と表現されるように、あらゆるプロダクトを流線形デザインに落とし込んだ20世紀を代表するフランス人デザイナー、レイモンド・ローウィ(1893-1986)です。ゴーティエ・ディレイがENSADを、ルネ・ガブリエルのクラスのメンバーとして卒業した時、時の運か、ちょうどレイモンド・ローウィがCompagnie d'Esthétique Industrielle (C.E.I.)をパリに設立しました。スカウトされる形でC.E.Iに就職したゴーティエ・ディレイは製図技師として、三ヶ月間働いたのち、すぐにスタジオの責任者に任命されインテリアデザイン部門を担当しました。その後7年間の在籍期間中、さまざまなクライアントを担当し経験を積んだゴーティエ・ディレイは自身のデザイン事務所を設立します。

事務所の設立とエールフランス航空との関係

1958年、ゴーティエ・ディレイは自らの工業デザイン事務所を設立しました。C.E.Iでの経験を生かし20人の協力者を集め、インテリアデザイン、グラフィックデザイン、工業デザインの3つのグループを編成し仕事に取り掛かりました。エールフランス航空は、ピエール・ゴーティエ・ディレイの名を知らしめる最初の大手クライアントになり、実際に、彼はこの航空会社の70以上の代理店のデザインをしました。 数々の代理店のデザインの中でも特質すべきは、シャンゼリゼ店とニューヨーク店でしょう。シャンゼリゼ店では、ファサード(建築物の正面部のデザインを指す語句で都市景観の形成に大きく影響を与えるため建築設計で重要視されている)にステンレスのバンドを固定したデザインを採用し世界中に衝撃を与えました。そして、ニューヨーク店にはガラスの自動ドアを採用し、1970年、この代理店は5番街で最も美しい店舗として表彰されました。彼とエールフランス航空の関係はその後も続き、ファーストクラスの備品、航空機のシート、食器、装飾パネルなど、その仕事は多岐に及びました。

Jacues Borel氏との仕事

ピエール・ゴーティエ・ディレイがデザイナーとして協力したもう一つの重要なフランスのクライアントはJacques Borel氏です。フランスで初めてファストフード店を開店させたことで知られるBorel氏は、1971年、ソーヌ・エ・ロワールのサン・アルバンに「ポン食堂」、をオープンし、高速道路のケータリングサービスを初めて提供しました。高速A6号線沿いにあるこの建物は、ゴーティエ・ディレイがデザインを担当し、南仏に向かう観光客を迎え入れました。またBorel氏の投資会社、Jacques Borel Internationalは4つ星ホテルチェーンのソフィテルを買収しました。そのため、1974年から1980年にかけて、フランスをはじめ、イラン、モロッコ、エジプトなど、合計16ものホテルがゴーティエ・ディレイによってデザインされ、装飾が施されました。 ゴーティエ・ディレイは他にも銀行、保険会社、刑務所、市庁舎、などなど、さまざまなクライアントと仕事をしました。特に、コートジワボール農務省の会議室のデザインを担当してからは、フランスのクライアントだけでなく、海外のクライアントにも対応するようになりました。

ムーブル・ウィークエンドの設立


"weekend"シリーズの家具たち
ゴーティエ・ディレイの家具デザインを語る上で欠かせないのは彼の友人のリュシアン・ヴェルニェールです。ヴェルニェールは、パリのアミラル・ムシェ通りの工房で、ジャック・アドネ、ジャン・パスコー、アンドレ・アルブスら著名な装飾家のために働いていた人物です。家具職人のリュシアンはゴーティエ・ディレイとともにムーブル・ウィークエンドを設立し、細部まで作り込まれたゴーティエ・ディレイのデザインを、確かな技術で具現化しました。ウィークエンドの家具はフランス南西部のランデスのパイン材と自然の藁を使用したデザインが特徴で、比較的、若い世帯向けにデザインされました。また、ウィークエンドの家具は、リビング、ダイニング、キッチン、寝室など一般的な家庭のあらゆるニーズに対応しており、エールフランス航空などに象徴される商業的な成功を収めていたゴーティエ・ディレイの名を一般大衆にも知らしめました。 オイルショックの影響でプラスチックが廃れ、白木などのシンプルな素材が見直された1970年代、イタリアやフランスの多くのデザイナーがゴーティエ・ディレイに習い、その瞬間からコピーされ続けたのです。

晩年

2006年、ゴーティエ・ディレイは亡くなられました。装飾家、建築家、グラフィックデザイナー、工業デザイナーなど、ゴーティエ・ディレイは、その時代に完璧に溶け込んだオールラウンドなクリエイターの一人でした。前述してきた通り、ゴーティエ・ディレイは、豪華なインテリアから大衆向けのインテリアまで、さまざまなプロジェクトを手がけており、この多様性は、彼の師匠の一人であるレイモンド・ローウィのように、インテリアデザインとグラフィックデザイン、プロダクトデザインが共存する仕事にも見出すことができます。牧歌的な雰囲気と、革新的な要素を持ち合わせ、高い次元でそれをデザインに落とし込んだ彼の功績がデザイン界に与えた影響は計り知れません。


eelで過去販売したPierre Gautier-Delayeの家具たち


"Grain de Cafe" スツール

"Grain de Cafe"というシリーズ名で、日本語に訳すと"コーヒー豆"
中央に入ったスリットがそれを連想させますね。
総無垢で温かみのある丸みを帯びたフォルムで、ぺリアンのデザインとの共通性も感じられます。シンプルなデザインだけにシーンを問わず合わせやすいスツールです。

幅:約34cm
奥行:約34.5cm
高さ:約43cm

"Grain de Cafe" ダイニングチェア

スツールと同じシリーズ"Grain de Cafe"のダイニングチェア
総無垢で温かみのある丸みを帯びたフォルムで、ぺリアンのデザインとの共通性も感じられます。
シンプルなデザインだけにシーンを問わず合わせやすく、単体としても美しい存在感が魅力です。

幅:約40cm
奥行:約40cm
座面高さ:約44cm
高さ:約77.5cm

"Grain de Cafe" ダイニングテーブル

ほかの"Grain de Cafe"シリーズの家具と同様、中央に入ったスリットが目を引くダイニングテーブル
無垢でつくられた上質なテーブルで、特にこちらはなかなか見つからないレアなモデル
シンプルなデザインだけにシーンを問わず合わせやすく、単体としても美しい存在感が魅力です。

幅:約160cm
奥行:約80cm
高さ:約72cm

"weekend" ダイニングチェア

こちらはVergnèresから出された、「weekend」シリーズのチェア
Chalet(=スイスの山荘)家具からの影響も見られるデザインです。

幅:約42cm
奥行:約45cm
座面高さ:約44cm
高さ:約84.5cm

"weekend" ダイニングテーブル

こちらは「weekend」シリーズのテーブル。
Chalet(=スイスの山荘)家具からの影響も見られるデザインです。
パインの柔らかい木目を生かした素朴な風合いがありつつも、シャープなラインがモダンな印象を与えています。

幅:約210.5cm
奥行:約91cm
高さ:約73cm

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出典:
・Hypotheses Arts décoratifs et design / Collections de la bibliothèque
・airfrance Designers/Les plus grands noms du design ont mis leur talent au service d’Air France, apportant esthétique et prestige au voyage aérien?.

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