Willy Guhl
ウィリー・グール|1915 - 2004

略歴

スイスの工業デザインのパイオニア。代表作は、エタニットというセメントとアスベスト の混合材を使った「Loop chair」。
インテリアデザインの分野で講師を務め、教育者として も優れた功績を残した。
美術工芸学校で講師を務める
チューリッヒ美術工芸学校(現チューリッヒ芸術大学)に入学し、1939 年には、キャビネットを製作する工房を開設しました。
1941 年に美術工芸学校 で新設のプロダクトデザインコースの講師となると、その後40 年間、教育者としてデザインの 発展に多大な功績を残しました。
実際、彼の生徒には、 Robert Haussmann(ロバート・オ スマン)、Anton Bee(アントン・ビー)、Bruno Rey(ブルーノ・レイ), Stefan Zwicky(ス テファン・ツウィッキー)など錚々たる面々が名を連ねます。
1950 年代

アメリカでは、ハーマンミラーのデザイナーが、FRP(繊維強化プラスチック)、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、成型合板の可能性を追求したのです。
ウィリー・グールもまた例外ではなく、「scobalit chair」(1948)でいち早くGRP(ガラス繊維強化ポリエステル)と呼ばれる素材を採用しました。
Eternit 社と契約


下:「Oreille d'Éléphant 」
屋根やパイプの製造用に開発されたエタニット(繊維セメント)は、引張強度や破断、気候変動に強い繊維状の安定した素材で、ウィリー・グールはこの素材を使用することを決めたのでした。
そして、素材のポテンシャルを最大限に引き出す新しい形を模索し、緻密な研究の結果、日本語で象の耳を意味するプランター「Oreille d'Éléphant 」(1951)が生まれました。
他にも、弟子のアントン・ビーと共同でデザインした「Fuseau」(1951)などが初期の作品として数えられます。
ウィリー・グールはこの成功を機にEternit 社と契約をし、以降、エタニットを使ったさまざまな作品を発表しました。
Loop chair

その構造は完璧なまでにシンプルで、エタニットをループ状に折りたたんで作られています。
製造工程は経済的で技術的にも簡単に作ることができました。このチェアは、その後、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムやチューリッヒの美術館に収蔵されました。
Loop chair を一新


下:ドリンクホルダーがついたサイドテーブルタイプ
新しいループチェアはアスベストを含まない素材でできており、新たに制作したサイドテーブルとの相性を考え、座面が少し高くなりました。
その後、同じくEternit 社から Julia von Sponeck が「Sponeck chair」を発表しました。
彼女は、Loop chair のフォルムを踏襲しつつもループ形状から離れるという形で、新しいエッセンスを加えました。

その後、Willy Guhl の作品は
Eternit 社がLoop chair を、Vitra は1948 年にデザインされた木製のおもちゃ 「Mobelspiel」を復刻されています。
出典:
・https://eternit-gardenanddesign.ch/en/
・https://www.wikiwand.com/fr/Willy_Guhl
・https://museum-gestaltung.ch/de/ausstellung/willy-guhl/
・https://www.design-is-fine.org/post/95095610994/willy-guhl-models-of-scobalit-chair-1948-museum